俳 書
『吐雲訪問句画帖』
寛政4年(1792年)冬、『吐雲訪問句画帖』浪花散人不二菴序。
桜井の里植田吐雲を訪れる俳人が染筆した画帖。
余ひさしきいたつきにこと
つけてかたく辞すいなめともなを
もとめてやます吁今はなに
は江のことのはもよしなしや
はまの眞砂路たれかはたとり
よミやはせんもとより我はあ
まの子の磯のミるめをはゝからん
はなかなかに人かましきわさ
ならめと三津の浦輪のもし
ほ草ミたりにかきあつめ
てそをくりぬ
さくら陰や華の
友まつ雪のやと
寛政四壬子冬
浪花散人
我に似て
人も急かす薄
かすみ
浪花 尺艾
萌出る
先千日紅に
春の霜
右 浪速あふ坂 升六
狩くれてつかれ
臥夜の夢も花
浪花 奇渕書
春雨や
杉の
よし野も
又奇也
平安 月居
空見つ倭の名處
一見せはやと河内の国ゆ
山こえしてやすらふ
折から此國中眼下
にみゆれは忽炎(カ)日の
眠氣散して
遠かたや青田の
うへの三の山
むさし埜ゝ雲水 一茶
途中吟
煙草の莖からし
とても止らす
一むれの鰯
くつるゝ
野分哉
浪花 八千房 草
冬の吟
ひをむしの
闇になる夜を
あしろ守
浪花 孚舟
かんな月十まり
ふつかといふ日泊瀬
三輪のわたりにあそひて
花薄
さ野ゝ
わたりの
雪と散れ
右 茅渟鈎人 奇渕 書
大和路の
杖はしめ
とても消るいのち
よし野の花の露
奈良の京や空は
むかしの春の月
しかり人の
有まて手折
野梅哉
右 河東 來耜 草
人しらぬほたし心に
ことしふたゝひ登山して
ミよし野や正月
よりの花こゝろ
かたらひの峯にて
しつかさのさくらも
散たやうすなし
黄華菴
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