俳 書

『しぐれ会』(明和元年刊)


   百韻一巡

  伊勢
塚のしくれ紙にしめして泣日かな
   樗良

枯野に残る蝶もまほろし
   文素

餅買に牛も来たやら繋かれて
   可風



   手向各題霎

 皇都
しくるゝや夕日は舟にのせて行
   蝶夢

家根も又ことしの藁や初しくれ
   可風

降ことを椎のをしへてしくれかな
   浮巣

   文 通

  東都
夜もすから我に髭ふる時雨かな
   蓼太

   時雨会余興探題

きゆるかと聞ゆる月の千鳥かな
   樗良

落る日をかゝへかねたる枯野哉
   蝶夢

初しもや今朝は造らぬ菊のうへ
   可風

頬かふり取れは嫁なり大根引
   浮巣

俳 書のトップページへ