俳 書
『しぐれ会』(安永6年刊)
四来奉納発句 |
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筑前福岡 |
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湖や一こほしつゝ時雨する | 蝶酔 |
備後田房 |
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しくれ来て木の葉の赤き野川哉 | 古声 |
陸奥会津 |
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松かせの液雨や鳰のうみのへり | 巨石 |
上野前橋 |
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椎の木の時雨しくれてぬれにけり | 素輪 |
伊賀上野 |
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立なから雑(椎)茸くさるしくれ哉 | 桐雨 |
美濃垂井 |
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粟津にもかくやしくれん翁の日 | 君里 |
枯原に白々とふるしくれ哉 | 瓦全 |
一坐捻香 |
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嵯峨 |
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むらしくれけふや枯野をかけめくる | 重厚 |
年月を経けれは、芭蕉堂の茅か軒端 |
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に雨の漏ると、看守の僧の告けるに |
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しくれもる音を手向ん芭蕉堂 | 蝶夢 |