俳 書

『しぐれ会』(安永4年刊)


   四来奉納
豊後杵築
ぬれて行僧よひとめん時雨の日   蘭里
筑前福岡
しくれ来よ今や茶釜も煮立ぬ   蝶酔

聞ものに降かはりけり小夜霎   梅珠
  浪花
芭蕉忌や蠅の障子をたゝくにも   旧国

夢はかれ野の句を思ひ出奉りて
上野前橋
かけめくる木のはにあはれみる日哉   素輪
陸奥会津
裏からも見たし時雨の鏡山   巨石
伊賀上野
油売る家賑しや夕しくれ   桐雨
  洛陽
しくれ会や柿に蜜柑に山家集   瓦全

   一坐捻香
  嵯峨
しくれ会に提て参るや嵯峨の柿
   重厚
  粟津
しくるゝや竜か岡には夕もみち
   蝶夢

   遅 来
  
きのふ置し露ほとなれと初しくれ   諸九

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