元禄2年(1689年)初夏、松尾芭蕉は門弟の曽良を伴って江戸深川をたち、奥州、北陸の旅に出ました。 秋、大垣にたどりつくまで約5か月、旅程600里(2,400キロメートル)に近い徒歩による大紀行が「奥の細道」であります。 当時の長期間を要したその旅程は、いまでは東北、北陸自動車道、名神高速道路で結ばれ、多くの皆様に車による快適な旅行を楽しんでいただいており、まさに隔世の感があります。 この句は、北陸路「卯の花山・くりからが谷」(当サービスエリアから北西約7キロメートル)をこえて金沢に向い、加賀平野で残暑の厳しい中にも秋風を感じ、長途の旅愁の思いを詠んだものといわれております。 今、芭蕉の奥州、北陸の旅から300年を迎えることとなりますが、くしくも今夏、北陸自動車道が全通いたします。 これを記念し、芭蕉のゆかりの地倶利伽羅峠に近いここ小矢部川サービスエリアにこの句碑を建立するものです。 1988年3月
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