芭蕉の句碑神奈川


秋十とせ却つて江戸をさす古郷

川崎市川崎区宮本町に稲毛神社がある。


稲毛神社の鳥居


鳥居の手前左手に芭蕉の句碑があった。


秋十とせ却つて江戸をさす古郷

出典は『野ざらし紀行』

貞享元年(1684年)秋、江戸を発ち伊賀に帰郷する時に詠まれた句。

      深川の庵を旅たつとて

   秋とゝせ却て江戸をさす古郷

「客舎并州已十霜 帰心日夜憶咸陽 無端更渡桑乾水 却望并州是故郷」よくこの詩のこゝろに似たり


平成6年(1994年)12月23日、芭蕉没後三百年に建立。

 この句は芭蕉の最初の旅日記「野ざらし紀行」巻頭2番目の句である。

 これが唐の詩人賈島の「桑乾ヲ渡ル」によることは分明である。

客舎并州スデニ十霜
帰心日夜咸陽ヲオモフ
端ナクモ更ニ桑乾ノ水ヲ渡リ
カヘッテ并州ヲ望メバ是故郷

 桑乾は即ち多摩川に相当する。多摩川(六郷川)を渡り川崎宿に足を入れた芭蕉が、10年暮らした江戸を振り返り、そこを故郷と吟じたのである。

 この句の碑が芭蕉没後三百年の年に、彫刻家圓鍔勝三氏の揮毫により旧川崎宿鎮守稲毛神社に建てられることは洵に時人所を得たことである。

 なお、この十年後、芭蕉は八丁畷で「麦の穂」の句を残している。芭蕉と川崎の縁の深さが思われる。

平成6年12月 飯塚秀吉

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