芭蕉の句碑


蠣よりは海苔をば老の売りもせで

鳴門市里浦町里浦花面に宝珠寺という寺がある。


高野山真言宗の寺である。

本堂の裏山に庭園がある。


庭園の斜面に芭蕉の句碑があった。


蠣よりは海苔をば老の売りもせで

出典は『続虚栗』


貞亨4年(1687年)の句。

西行の歌の本歌取りである。

   串に刺したる物を商ひけるを、何ぞと問ひければ、蛤
   を乾して侍なりと申けるをきヽて

同じくはかきをぞ刺して乾しもすべき蛤よりは名もたよりあり


去来曰く、古事古歌を取るには、本歌を一段すり上げて作すべし、喩へば、「蛤よりは石花(かき)を売れかし」といふ西行の歌を取りて、「かきよりは海苔をば老の売りはせで」と先師の作あり。本歌は、同じ生物を売るともかきを売れ、石花は看経(かんきん)の二字に叶ふといふを、先師は生物を売らんより海苔を売れ、海苔は法(のり)にかなふと、一段すりあげて作り給ふなり。「老」の字力あり。


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