竹林院は、延宝2年(1674年)、鐡崖によって建立された黄檗宗の寺院で、本堂や山門は中国明時代の寺院様式である。この鐡崖という僧は、織田信長に滅ぼされた浅井長政の曾孫にあたるとされ、幼少時に徳島藩家老稲田家を頼って阿波に来た。藩主がその人柄を見込んで召し抱えようとしたが、12歳の時に瑞巌寺に入り僧となった。その後、各地で修行を積み、長崎で明からの渡来僧木庵の十哲に数えられた。 書院には眉山の一部を借景とした築山泉水庭がある。この庭は貞享元年(1684年)に鐡崖が弟子の月津禅人と友人松仙老士に造らせたもので、東から西へ細長く延びた池があり、四季それぞれに趣がある。 池の中央には、鎌倉時代の様式をとどめる十三層塔(徳島県指定有形文化財・建造物)がある。現在は一層欠けているが日本でも珍しい石塔で、磯の禅尼が娘の静御前の供養のために建てたという伝説がある。 寺蔵の「弁顕密二教論巻上」は空海の撰で、法相・三論・華厳・天台の顕教を密教側から解釈したものであり徳島県指定有形文化財(書跡)となっている。
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