『伊豆の踊り子』に浄蓮の滝は出てこない。踊り子が竹を持っているので、河津の浜を歩いているところであろう。 |
かたはらに刀身ほどの細き瀧白帆の幅の浄蓮の瀧
与謝野晶子『白桜集』より
うすうすに身のほそりつつ落つる影浄蓮の瀧もみ冬さびたる
北原白秋『渓流唱』より |
言葉少なに去る山葵田の花ざかり
渡辺水巴『北伊豆の旅』より |
昭和10年(1935年)1月、北原白秋は湯ヶ島温泉「落合楼」に20日あまり滞在、その時の印象をもとに「湯ヶ島音頭」や『渓流唱』が作られた。 |
冬の山葵田 石走る水に冴えたつ色ながら冬は山葵の根にひびくめり うすうすに身のほそりつつ落つる影浄蓮の瀧もみ冬さびたる
『渓流唱』 |
昭和12年(1937年)10月8日、与謝野晶子は伊東「抛書山荘」に2泊。11日、修善寺温泉から浄蓮の滝を訪れ、湯ヶ島温泉「落合楼」に泊まった。 |
君ありて溪間の路を先づ入らば天城の瀧よ落ちずともよし かたはらに刀身ほどの細き瀧白帆の幅の浄蓮の瀧 いと細き筋集りて流るれば梳くべき櫛の思はるる瀧
『白桜集』(時雨抄) |