種田山頭火の句碑

酔うてこほろぎと寝てゐたよ

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南島原市布津町乙大崎名の高台に琴平神社がある。


琴平神社に隣接して「こんぴら公園」がある。

こんぴら公園の入口に種田山頭火の句碑があった。


 酔うて
   こほろきと
寝てゐたよ

出典は『行乞記(一)』。宮崎県日南で詠まれた句。

 十月七日 晴、行程二里、目井津、末広屋(三五・下)

雨かと心配してゐたのに、すばらしいお天気である、そここゝ行乞して目井津へ、途中、焼酎屋で藷焼酎の生一本をひつかけて、すつかりいゝ気持になる、宿ではまた先日来のお遍路さんといつしよに飲む、今夜は飲みすぎた、とうとう野宿をしてしまつた、その時の句を、嫌々ながら書いておく。

   酔中野宿

・酔うてこほろぎといつしよに寝てゐたよ

 大地に寝て鶏の声したしや


九日の日記で、「いつしよに」を削除している。

昭和6年(1931年)1月号の「層雲」に発表された。

平成7年(1995年)10月、建立。

こんぴら公園の藤棚


雲仙岳が見える。

昭和7年(1932年)2月15日、山頭火は布津を訪れている。

 二月十五日 少し歩いて雨、布津、宝徳屋(三〇・中)

気が滅入つてしまうので、ぐんぐん飲んだ、酔つぱらつて前後不覚、カルモチンよりアルコール、天国よりも地獄の方が気楽だ!

同宿は要領を得ない若者、しかし好人物だつた、適切にいへば、小心な無頼漢か。

此宿はよい、しづかでしんせつだ、滞在したいけれど。――


布津での句はない。

島原湾を一望。


眉山が見える。

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