ならのいそのかみでらにて郭公のなくをよめる いその神ふるき宮この郭公こゑばかりこそむかしなりけれ
『古今和歌集』(巻第三 夏歌) |
仁和のみかど、みこにおはしましける時、ふるのたき御覧ぜむとておはしましけるみちに、遍昭がはゝの家にやどりたまへりける時に、庭を秋ののにつくりて、おほむものがたりのついでによみてたてまつりける
僧正遍昭 |
さとはあれて人はふりにしやどなれや庭もまがきも秋ののらなる |
僧正遍昭は俗名良岑宗貞(よしみねのむねさだ)。小倉百人一首の和歌「天つ風雲のかよひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ」で知られている。 |
石の上在原寺、井筒の井の深草生たるなど尋て、布留の社に詣、神杉など拝みて、声ばかりこそ昔なりけれと、詠し時鳥の比にさへなりけるとおもしろくて瀧山に昇る。
貞亨5年4月25日、猿雖(惣七)宛書簡 |
いそのかみ古杉暗きおぼろかな | 青畝 |
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よろこびを互いに語り天高し | とい子 |
昭和38年(1963年)11月10日、高野素十は石上神宮に吟行。 |
同十日 芹吟行 石の上神宮 二句 冬紅葉布留の宮とも云ふとかや 拍手の二つひゞきし冬日かな
『芹』 |
昭和45年(1970年)9月15日、水原秋桜子は石上神宮を訪れている。 |
奈良ホテルの新館を予約しておいてもらったのだが、まだ讃佛会のはじまるまでに時間があるので、石上神宮へ行く。今日は例祭の日だときいていたが、着いてみるとそれは午前中に済んだそうで、静かなものである。しばし境内を逍遥しているうちに、時刻が近づいたので唐招提寺へ行く。空がまた少し曇ってきて、良夜という好条件にはならぬらしい。
「日記抄」 |
石上神宮 二句 法師蝉澄むや祭の布留の宮 栗鼠あそぶ今日を祭の布留の宮
『緑雲』 |