虚子の句碑
茂り中日限地蔵の旗つゞく
昭和6年(1931年)11月27日、高浜虚子は星野立子と親縁寺で鎌倉俳句会。 |
十一月二十七日。鎌倉俳句会。戸塚、親縁寺にて。 独楽赤し銀杏落葉に廻りをり |
二十七日は鎌倉句会で、戸塚の親縁寺。戸塚といふ駅 にはじめて下りる。大きなバスに乗つてコンクリートの 国道(昔の東海道)をちよつとゆくとすぐに下車。左へ 一間幅程の道を曲る。やがて地蔵様の立並んだ中を上つ てゆくとお寺があつた。 戸塚は山茶花が多い、と思つた。 よい心持だけれど句は一向に出来ないので、又、銀杏の ある境内にもどつて来る。折から 独楽もつて子等上り来る落葉寺 |
昭和8年(1933年)6月20日、高浜虚子は星野立子と親縁寺で鎌倉俳句会。 |
六月二十日。鎌倉俳句会。戸塚、親縁寺。 山間に停車場ありて田植かな |
六月二十日。鎌倉句会。戸塚の親縁寺へゆく。 寺裏に廻るとひんやりした風が吹いてゐる。山からポ タポタとやすみなしに水が垂れてゐるあたりに十薬が真 盛りに咲いてゐた。その前に跼んでゐると人声が夢のや うに遠くきこえる。 十薬や岩を落ち来る水少し 午後の日に十薬花を向けにけり 跼み見る十薬花を真横より だんだんに曇りて来たり蝉涼し |