“触(さわ)れる作家共同制作の像”という彫刻界のタブーをクリアできたのは、やっぱり“龍馬さん”だったからだろう。もちろん平成22年日本中を旋風に巻き込んだNHK大河ドラマ「龍馬伝」があったのはいうまでもない。 |
龍馬の手紙には「日本」という言葉がよく登場する。 幕府と藩に変わって議会制度を持つ近代国家「日本」の実現を目指す龍馬は、その具体的なかたちを8つの項目にまとめ、土佐藩参政後藤象二郎に示した。京都に向かう途中の藩船「夕顔丸」が舞台となったので、「船中八策」と言われる。 この広場の柱に記してあるが、19世紀後半に書かれたにもかかわらず、今の世に立派に通用する先見的感覚だ。中には行政改革・平等条約・為替レートなど、今日の課題として残っているものさえある。 「大政奉還建白書」に生かされ、近代国家「日本」誕生の糸口となったこの「船中八策」をぜひ今日の目で見直してみたい。 |
・天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。 ・上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事。 ・有材ノ公卿諸侯及天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ官ヲ除クベキ事。 ・外国ノ交際広ク公議ヲ採リ、新ニ至当ノ規約ヲ立ツベキ事。 ・古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事。 ・海軍宜シク拡張スベキ事。 ・御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守護セシムベキ事。 ・金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事。 以上八策ハ方今天下ノ形勢ヲ察シ、之ヲ宇内万国ニ徴スルニ、之ヲ捨テ他ニ済時ノ急務アルナシ。苟モ此数策ヲ断行セバ、皇運ヲ挽回シ、国勢ヲ拡張シ、万国ト並行スルモ、亦敢テ難シトセズ。 伏テ願クハ公明正大ノ道理ニ基キ、一大英断ヲ以テ天下ト更始一新セン。 |
石碑にあるように、平成3年の高知県立坂本龍馬記念館の開館時には、この碑の前にあった広場に八策の各項を記した8本の柱が立てられていました。 その後、新館の建設に伴い、広場を駐車場とするために、やむなくそれらを撤去することとなりました。 このパネルでは、それらに代わって龍馬の業績のひとつとされる「船中八策」を土佐藩船「夕顔丸」(模型)の写真とともに紹介しています。 |
坂本栄は維新の風雲児坂本龍馬の次姉である。文久2年(1862年)3月24日、龍馬脱藩の際栄は龍馬に刀を渡したことにより、その責を負い自ら命を絶った。龍馬活躍の裏に悲しい犠牲となり、地下深く密葬された姉栄の生きざまを偲び、こゝに碑を建立する。 |