車を買い換えたこともあって、川崎市川崎区大師町の川崎大師(HP)に行ってみた。 |
明治27年(1995年)11月3日、正岡子規は川崎大師を訪れている。 |
石造りの壁に沿ふてぐるりと廻れば山門に出でたり。門は普請に掛りて七分通りは出來上りたり。本堂も鐘樓もいかめしく庭園など手を盡したるものから卑俗にして些の風韵なし。弘法殿或は俗人なりしやも知れず。山門だけは足場高く掛けて圍ひたるにゆかしき心地す。 朝霧の雫するなり大師堂 くさびうつ音の高さよ霧の中 菊咲くや大師の堂の普請小屋
「間遊半日」 |
大正13年(1924年)12月29日、永井荷風は川崎大師に参詣する。 |
曇りたれど温暖春の如し。午後川崎の大師堂に賽し、裏門より野徑を歩み、細流に沿ひて鹽Mの海邊に出づ。沖の方より海苔をつみたる小舟列をなして歸り來り、折柄の上汐に乘じて細流を上り行けり。水邊の漁家皆籬邊に海苔を干したり。 |
昭和33年(1958年)5月26日、川崎大師に高浜虚子を招いて句会を開莚。 |
かりそめに人人らしめず薔薇の門 五月二十六日 川崎大師、句会。 金色の涼しき法の光かな 五月二十六日 本堂改築竣工。 |
川崎大師の本堂改築竣工を祝つて一日訪ねた。鹿野山の山口笙堂さんも参加。新しい本堂に坐して静かにゐると快かつた。松蝉がよく鳴いてゐた。父歿後、この句碑が境内に建てられた。
『虚子一日一句』(星野立子編) |