玉の井に心戀しみ |
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丘のへをのぼりて |
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くだる泉は無しに |
謡曲「玉の井」は、日本書紀中の神代説話、海陸交通伝説を現代物に脚色した曲である。 地神彦火火出見尊は、兄火闌降尊から大切な釣針を魚に取られてしまった事をひどく責められ、海の都に探しに出かけられた。 疲れ切って玉の井戸の傍に立つ桂の木蔭に休んでいると、水を汲みに来た豊玉姫・玉依姫から事情を聞かれ、尊に心をひかれた姫の案内で海の宮殿に導かれた。 姫の父海神の歓待を受けて楽しむうちに3年もの月日が過ぎ、帰国を思い立たれた尊に、姫達は潮満瓊・潮涸瓊を、海神は魚の取った釣針を捧げ、五丈の鰐を船とし、舞楽を奏して元の陸地に御送りされたという物語である。 玉の井戸は、海と陸との交通路としての日本最古の井戸である。
謡曲史跡研究会 |