2021年兵 庫

歳時記園〜『万葉集』〜
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明石市茶園場町の明石川左岸から明石川を渡り明石市王子の王子公園へ。

夏の歳時記園


妹が見し棟(あふち)の花は
 散りぬべしわが泣く涙
    いまだ干(ひ)なくに

『万葉集』(巻第五)。山上憶良の歌である。

妻のながめた棟(せんだん)の花は今頃もう散ってしまったことだろう。わたしの涙はまだかわいていないのに。
明石市西明石町に花園三号公園がある。

春の歳時記園


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  君が行き日(け)長く
なりぬ山たづの迎へを往
 かむ待つには待たじ

『万葉集』(巻第二)。衣通王(そとおしのおおきみ)の歌である。

わが君、軽太子が行かれてから随分長い日が経ってしまった。わたしはお迎えにいきましょう。とうてい待ってなどいられません。

明石市野々上に神田公園がある。

冬の歳時記園


雪の色を奪ひて
咲ける梅の花
 今盛りなり見む
    人もがも

『万葉集』(巻第五)。大伴旅人の歌である。

あの雪の白い色を奪い取ったかのように真っ白に咲いている梅の花は今が滿開だ。一緒に見る人があればよいのに。

明石市藤江に東藤江サクラ公園がある。

春の歳時記園


わが園の李(すもも)の花か庭に降る

はだれのいまだ残りたるかも

『万葉集』(巻第十九)。大伴家持の歌である。

わが家の庭のスモモの花びらなのだろうか、それとも庭にはらはらと降った雪がまだ溶け遺っているのだろうか。

明石市田町に船上東公園がある。

冬の歳時記園


山菅の実成らぬことをわれに依せ

    言はれし君は誰とか宿(ぬ)らむ

『万葉集』(巻第四)。坂上郎女(さかのうえのいらつめ)の歌である。

やぶらんの実が成ならないように恋がみのらないことを、さも私に関係があるように言い立てられた。あなたはどなたとねんごろになさっているのでしょうか。

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