葦屋の昆陽の篠屋のしのびにもいないなまろは人の妻なり 百首歌よみ侍けるに、忍恋
殷富門院大輔
難波女がこやに折り焚くしほれ葦の忍びに燃ゆる物をこそ思へ女の葦の八重葺きと書けりける手習を見て、書き添へ侍ける
源重之
葦の屋の昆陽の篠屋の忍びにも人に知られぬ節を見せなん |
こやの池に生ふる菖蒲の |
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なかき根はひく |
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白糸のこゝちこそすれ |
待賢門院堀河は、小倉百人一首「ながからむ心も知らず黒髪の乱れてけさはものをこそ思へ」の歌で知られている。 |
過昆陽池入武庫山 |
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新雨初晴池水満 |
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恩波風緩楽豊年 |
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遠松迎我如親故 |
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群鳥驚人争後先 |
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暁涙伴来江館月 |
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春望相似洞庭天 |
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廻頭遥顧青巌路 |
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漸隔帝都山復河 |
昆陽池を過ぎて武庫の山に入る |
新雨初めて晴れ池水満つ |
恩波風緩にして豊年を楽しむ |
遠松我を迎えて親故の如し |
群鳥人を驚かし後先を争う |
曉涙伴い来る江館の月 |
春望相似たり洞庭の天 |
頭を廻らして遥かに顧る青巌の路 |
漸帝都を隔てて山復川 |
「明月記」より |