元禄2年5月17日(陽暦7月3日)、芭蕉は尾花沢の鈴木清風を訪ねた。翌日清風のはからいで養泉寺に移る。芭蕉は尾花沢に10泊したが、そのうち7泊は養泉寺で過ごした。 |
十八日 昼、寺ニテ風呂有。小雨ス。ソレヨリ養泉寺移リ居。
『曽良随行日記』 |
句碑は本堂の手前右手、上屋の中にある。ひょろっとした自然石。 涼しさを我か宿にしてねまる也 芭蕉は、尾花沢に来て、清風の家に泊ったり、養泉寺に泊ったりした。この句は清風の家で出来た。 涼しい。その涼しさをこの家で満喫して、くつろいでいる、と云うのだ。「ねまる」は方言。主として東北地方に分布する方言だ。 句碑には、句のつづきに漢文を刻んでいる。その最後に「不朽ヲ謀リ、石ヲ立テ涼塚ト曰フ」とある。「不朽ヲ謀リ」とは、芭蕉の俳句の不朽を謀ったのだ。 建立は宝暦十二年。
『句碑をたずねて』(奥の細道) |
すずしさを我がやどにしてねまる也 | 芭蕉 |
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つねのかやりに草の葉を燒 | 清風 |
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鹿子立つをのへの清水田にかけて | 曾良 |
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ゆふづきまるし二の丸の跡 | 素英 |
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楸邨書 |
歌仙は須賀川の相楽家に伝来したもの。石井雨考が見つけ、幽嘯が書き写して『繋橋』(幽嘯編)に収録。 |