文治5年(1189年)閏4月、高館落城のとき主君義経とその妻子の悲しい最期を見とどけ、死力を尽くして奮闘し、敵将諸共燃えさかる火炎の中に飛び込んで消え去った白髪の老臣兼房、年66。 元禄2年(1689年)5月、芭蕉が門人曾良とこの地を訪れ、「夏草」と「卯の花」の2句を残した。 白く白く卯の花が咲いている。 ああ、老臣兼房奮戦の面影がほうふつと目に浮かぶ。 古来、ここに霊水がこんこんとわき、里人いつしか卯の花清水と名づけて愛用してきた。 行きかう旅人よ、この妙水をくんで、心身を清め、渇きをいやしそこ「卯の花」の句碑の前にたたずんで、花に涙をそそぎ、しばし興亡夢の跡をしのぼう。 昭和50年卯月30日
平泉町観光協会建之 |