六月二十日 洞爺湖畔より室蘭へ 昭和新山を見、地 球岬吟行 室蘭市文化センター四階 火の山に登る軽装蝦夷の夏 室蘭は丘陵の都市青葉燃え
『句日記』(第三巻) |
昭和新山は昭和18年暮れから20年9月末にかけのどかな麦畑とフカバ部落を持ち上げ4ヶ月の爆発期を経て溶岩塔推上という珍しい現象を伴ってこの地に誕生した 時は第二次世界大戦末期の混乱下にあり厳しい報道規制が敷かれ火山学者の十分な調査研究さえままならない頃であった この様な中にあって地元の壮瞥郵便局長三松正夫(1888〜1977)は明治43年の有珠山噴火体験時に受けた学者の教えを想起し この火山活動を歴史の空白にしてはならないと 冷静な観察眼で創意工夫と努力 想像を絶する苦難を重ねて火山誕生の経過を語る貴重な資料を世に残された 更に敗戦の混乱の中 この新山を荒廃から護るため私財を投じて主要地域を購入 万民の宝として保護に死力を尽くされ今日迄我々に自然のあるがままの姿を残された 翁の私利私欲を越えた行動の意味を後世に語りつぐためにこの像をここに建立する |