摩周温泉郷に文化勲章受章者高濱虚子の 「澤水の川となりゆく蕗の中」 の句碑あり。その虚子の小説「虹」に登場する伊藤柏翠もまた此の摩周の地を好み 「摩周湖は凉し太古の色のまゝ」 の句を残す。こゝに土田優氏かつて柏翠と知床への旅で地平線より地平線につゞく大虹に出逢ひ 「大虹を知床行に伴ひし」と云ふ柏翠の句に心動き、虚子の「虹」のヒロイン森田愛子の「虹の上に立てば小諸も鎌倉も」の句との2つを句碑として前記高濱虚子の句碑と共に摩周温泉郷に名作「虹」にちなむ一つのロマンを加えんと志す。 即ちこの地とこしへに榮えんことをこひねがふ。
伊藤柏翠 誌 |