一人居て喜ばゝ |
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二人と思ふべし |
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二人居て喜ばゝ |
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三人と思ふべし |
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その一人は親鸞なり |
六月十七日。白老海岸。真證寺に休憩、小句会。支笏湖畔、郵便 局長官舎泊り。 冬海や一隻の舟難航す 難航の梅雨の舟見てアイヌ立つ 梅雨寒の白老村といふはこゝ 梅雨寒も蝦夷は厳しと思ひけり |
六月十七日。朝、九時半に宿を発つ。先日来た道をも どつてゆく。安浦を過ぎて白老村に著く。真証寺といふ お寺に一休みして中食。汽車で著く一行と其処に落ちあ つて中食後を白老の海岸に出て見る。寒い雨が降りはじ めてゐた。風も吹き、とても我慢の出来ないやうな寒さ になつて来た。 |
大浪に静かな寺や夏炉守る | 立子 |
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冬海や一隻の舟難航す | 虚子 |
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夏炉守り寺守り雨の一日寒 | 年尾 |
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この浜に立ちし虚子あり蝦夷の夏 | 汀子 |
昭和23年6月17日、高浜虚子先生御一行が、折しも札幌西別院 石田雨圃子氏のご案内により当真證寺に立ち寄られ「白老句会」を催されました。 戦前シアトル航路に就航していた氷川丸にて横浜から小樽に着き、登別、白老、支笏湖、札幌と周遊。「昭和の奥の細道」とも言われ、その間の句は後に『六百五十句』に残され、それぞれの文学全集にも収載されております。 |
冬海や一隻の舟難航す | 虚子 |
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夏炉守り寺守り雨の一日寒 | 年尾 |
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大浪に静かな寺や夏炉守る | 立子 |
当日の白老は冬を思わせるような気象で寺では炉に炭火を山と熾したと記録にございます。 |
この浜に立ちし虚子あり蝦夷の夏 | 汀子 |
平成17年7月24日、ホトトギス主宰稲畑汀子先生のご来訪により、当寺に残された、年尾、立子先生のご真筆を確認され、この一句を賜りました事を更なる機縁とし、予ねて念願の句碑を建立し茲に之を勒します。 |