蕉 門
三井秋風
京都の人。本名俊寅。三井高俊の三男重俊の子で、服商の釘抜三井家をつぐ。養父より江戸店二軒、千貫目の資産を譲られる。 |
養父江戸店二ヶ所にて千貫目餘の譲り致し置き候處、其方殊の外成不行跡者にて、中々商賣につたひ不申、奢りの餘り後は曙瀧に山店を構へ夫れに引籠り種々の榮耀を極む、其頃世に曙瀧交と沙汰致申候。
『町人考見録』 |
鳴滝穐風子亭にて 蚊を鳴て曝布萌黄にそむ夜哉 |
京にのぼりて、三井秋風が鳴滝の山家をとふ。 |
梅 林 海(梅)白し昨日ふ(ママ)や鶴を盗れし 樫の木の花にかまはぬ姿かな |
此紀行に出る句也。秋風が別墅の吟にして、風がワキ有。杉葉に身摺牛二ツ三ツ |
みやこにあそひて題秋風子の梅林 |
|||
芭蕉 |
|||
梅白しきのふや鶴を盗れし | |||
京 |
|||
杉菜に身する牛二つ馬一つ | 秋風 |
||
山家 |
|||
芭蕉 |
|||
樫の木の花に構ハぬ姿かな |
|||
家する土をはこふもろつは | 秋風 |
白雨の隈しる蟻のいそぎかな 正月を馬鹿て暮して二月かな |