俳 人

黄華庵升六

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大坂の人。通称升屋六兵衛。勝見二柳に学ぶ。

 寛政5年(1793年)、升六は桜井の吐雲邸を訪問している。

萌出る先千日紅に春の霜


 寛政7年(1795年)3月17日、小林一茶は明石から大阪の黄華庵に入る。

 夜はほのぼのと開比(あくるころ)、大坂に来る。黄花庵を主とす。題庭前、相見、二十里也。

   松そびへ(え)魚をどりて春む(を)(惜)む哉


 寛政8年(1796年)9月、『俳諧百家仙』刊。黄華菴升六序。

 寛政9年(1797年)、一茶は大坂下寺町浄国寺の黄華庵升六宅に遊ぶ。

隅々に夜の気色や夜の雪
   舟六

 匂ひ来れる寒梅の人
   石人

楠に倒れかゝりし家守て
   一茶


 寛政10年(1798年)、一茶は6年の西国行脚を終え、東帰。

雲ごゝろ柳は蓑に添ふものか


 寛政11年(1799年)、升六は再び吐雲邸を訪問している。

  人しらぬほたし心に
  ことしふたゝひ登山して

ミよし野や正月よりの花こゝろ

  かたらひの峯にて

しつかさのさくらも散たやうすなし


 文化6年(1809年)、『冬の日注解』。

文化10年(1813年)9月3日、没。

升六の句

昼はまたひる顔咲ぬ秋の風

洟かみて僧かへる也冬の月


花鳥もふるミに落ぬ九月尽


白梅やあまり白さに人も來す


植かへし櫻やしなへ初しくれ


鴛鴦よ一夜わかれて恋をしれ


華鳥もふるみに落(ち)ぬ九月尽


松の風落て女猫の声ス也


湖をしろしと見れば月夜哉


梅の花正月おゝきところかな


人なれて朝から吹そ春の風


よき人の門見て過る小はる哉


菊につれて人の心も夜に入る


山畑や鍬のこけてもかへる雁


山吹の宿にはしまる碪かな


釣燈を舟にさし出す師走かな


大藪のふたつにわかる千鳥哉


紅梅に来てハ恋する雀かな


明六を一時もきく蒲団哉


松と竹と冬至の色を見たりけり


春の日は毎日ながら惜みけり


声よきはぬるゝ千鳥と思ひけり


長月にかゝる深山の夕日かな


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