いまひとりは、僧にもあらず俗にもあらず、鳥鼠(ちょうそ)の間に名をかうぶりの、鳥なき島にも渡りぬべく、門より舟に乗りて、行徳といふところに至る。舟をあがれば、馬にも乗らず、細脛(ほそはぎ)の力をためさんと、徒歩よりぞ行く。
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大儀寺の連句碑

雨にねて竹起かえる月見かな
| 曽良
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月さびし堂の軒端の雨しずく
| 宗波
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長勝寺の連句碑

塒せよ和ら本す宿の友すゞめ
| 松江
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あきをこ免たるく年の指杉
| 桃青
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月見んと汐引のぼる船とめて
| ソラ
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貞享4年(1687年)10月末、芭蕉は「笈の小文」の旅に出る。宗波は餞別の句を贈っている。
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我夢を嚔(ハナヒ)ん霜の草枕
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貞亨5年(1688年)、宗波と杜国は伊賀上野に芭蕉を訪ねている。
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元録元辰のとし、此春武藏野の僧宗波、美濃杜國伊賀に來り、杜國は萬菊と改名して、和州行脚に伴ふ。
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元禄4年(1691年)、曲水は芭蕉庵の跡を訪ねて宗波に逢った。
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其内曲水状ニ、予ガ住捨し芭蕉庵の旧き跡尋て、宗波に逢由。
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元禄7年(1694年)、濁子・野坡らと句会。
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雨 中
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傘におし分見たる柳かな
| 芭蕉
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わか草青む塀の筑(つき)さし
| 濁子
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おぼろ月いまだ巨燵にすくみゐて
| 涼葉
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使の者に礼いふてやる
| 野坡
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せんたくをしてより裄(ゆき)のつまりけり
| 利牛
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誉られてまた出す吸もの
| 宗波
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宗波の句
夕立や箕に干ス粮(かて)のしばしだに
落葉たく色々の木の煙かな
冬籠り炭一俵をちからかな
我身には木魚に似たる月見哉
我夢を鼻ひン霜の草まくら
もろこしや葉をもり兼て三かの月
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