俳 人
坂部壺中
台石に壷中・吟里をはじめ、18名の俳号が刻まれている。天童の浦夕・池青の名もある。 |
いにし年ならん、最上林崎駅の壺中といふ俳士、此山中に翁の塚を築き、此短冊を埋て、蝉塚と名づく。
蓑笠庵梨一『奥細道菅菰抄』 |
宝暦5年(1755年)4月25日、南嶺庵梅至は林崎壺中亭を訪れている。 |
廿六日林崎壺中亭に笠を落此主の庭上に文星観を移され |
泉水に影や合せて鑑塔 |
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挑るまての細き螢火 | 壺中 |
宝暦10年(1760年)、山形の俳人雨聲庵山皓は壺中を訪ねている。 |
林崎壺中亭の閑窓を問ひて、三年あまりの談笑に折からの夏の月の更るを惜しむ |
みじか夜や咄しは翌日へあまるほど | 山皓 |
蚊やりもてなす迄の隠れ家 | 壺中 |
安永2年(1773年)、不二庵風五は壺中の三回忌で句を詠んでいる。 |
壺中師三回忌 さてもさてもとつまむや塚の苔の花
『水蛙集』(三編) |
天明5年(1785年)、不二庵風五は壺中の墓を訪ねている。 |
林崎村を過て壺中老人の墳墓を尋ぬ 露深き塚にしほりぬ汗拭う
『水蛙集』(五編) |
最上川や千里やしのふ菊の露 草の戸やそれから青む薺粥 |