旅のあれこれ



山本龍斎

書家。俳号は雪声庵百卉。白井鳥酔門下の俳人。建部巣兆の父。

 明和3年(1766年)4月、龍斎は鹿島神宮の芭蕉句碑揮毫。

芭蕉の句碑


此松の実生せし代や神の秋

 安永9年(1780年)、『春秋稿』(初篇)の麗水堂巨計序文を書いている。

箕田村の桃源庵文郷を訪れている。

   武桃源庵にあそびて

おぼろ夜や椎の常陰の雪あかり


百卉の句

一声の中に峰ありほとゝきす


蓮池やめくれはかはる花の奥


横に行芦間の音や初時雨


明て聞く空のしらへや初時雨


礎のひと間ひと間や若菜つみ


雪解やけふは野となり山となり


   芳野山にて

手を打て花ともいはすよしの山


犬啼は明石の岸歟小夜千鳥


はる雨や庭へ投出す炭だはら


   秋も嘸(さぞ)とおもふあたりにて

わか艸や我落にきと詠しあと


青柳は枝をならさぬはじめ哉


菊貫君の御句なりたまはりしをせめてもの四時のはじめとす

梅園やいく木ありても香はひとつ


雪解て隣の遠き山家かな


晨明の月より春ハまたれけり


温泉車(ゆぐるま)の米にもなれてけさの秋


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