俳 人

小山魯恭
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小諸の俳人、小山藤兵衛。倉田葛三の弟子。

 文政7年(1824年)5月、川村碩布は「善光寺詣」の旅で魯恭を訪れた。

 小諸なる魯恭が亭に労をわするゝ。

   庭鳥にふまるゝ水も泉かな


 文政7年(1824年)4月26日、護物は江戸を旅立ち佐久の葛古邸まで旅をする。魯恭も葛古邸を訪れている。

 これより畠山一里ばかり入て八満の里にいたり水篶家を訪ふ。あろじ葛古は十とせまり先に睦みある人なりければ、うちとけてしばし旅心をわする。

 日々にうちつどへる人々は、

   青空はみせても梅雨の五六日
   葛古

   卯花の明りをめぐるながれかな
   魯恭


 文政7年(1824年)5月23日、魯恭は柏原に一茶を訪れた。

   [廿]三 晴 申下刻大雷雨 富山雲布来 小諸魯恭来

『文政句帖』(文政7年5月)

去年(文政7年)、直江の津(直江津)に遊行(ゆぎょう)せし折から、老人(一茶)を訪(と)ひける時の卷奈(な)るを、表六句を爰(ここ)にあらはす

昼の蚊やだまりこくつて後から   一茶
菖蒲の露をあびる旅笠   魯恭
ひよろ長き城下はづれに海みへて   一茶
撞ききる鐘についと入る月   魯恭
汁なべにほつほつ黄菊むしり込(ころ)   一茶
名もなき風の吹にふくあき   魯恭


 文政8年(1825年)、『ぬかつか集』(初編)刊行。

小諸市の糠塚山に小林一茶の俳文碑がある。


ことし七月既望夏の糠塚
山に上る勝景はさておき麓の村
々魂送り火焚てなこりをおしみ
天も隈なく晴れて仏の
帰路を照し玉ふさなから別世
界也けらし

一茶

精霊の立ふる廻の月夜かな

『ぬかつか集』(初編)巻末に真蹟のまま模刻されている。

 天保4年(1833年)4月4日、碓嶺は信州・奥羽行脚。魯恭を訪ねている。

   直江津に三度杖を曳て
 信小諸
見覚のある木は椎かほとゝぎす
   魯恭

葭切の啼止で月の夕かな
   石女


石女は魯恭の妻。

魯恭の句

降出す雨ハともあれ鹿の声


降雪の空には雲もなかりけり


我侭に筆とる春の雨夜かな


草ふかき野になれかしと啼雉子


はつ雪や鴨も尾花も見えてふる


卯花の明りをめぐるながれかな


元日や此界隈はみな親子


石女の句

松の木を廻りて盆の月よ哉
   石女


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