俳 人
小宮山門瑟
門瑟入庵賀 持習ふ庵は手軽し萩と月 |
抱山宇門瑟は予か門に遊んて既に十とせけふ其俳莚を開事を悦ひ祝して |
骨折もけふは干日やさらし布 |
延享2年(1745年)頃、立机。柳居の別号を譲られ抱山宇門瑟と号した。 |
延享5年(1748年)5月30日、佐久間柳居は63歳で没。 |
宝暦7年(1757年)、『冨士井の水』刊。抱山宇門瑟序。 |
明和8年(1771年)5月1日、諸九尼は抱山宇門瑟を訪ねている。 |
一日 松籟庵・抱山宇の老人連を訪ひけるに、昔今の物語ねもごろに聞へ(え)られけるに、年月におこたりし事を愛なくぞ覚えぬ。 |
安永9年(1780年)4月10日、蝶夢は門瑟を訪ねている。 |
巳の刻すぐるより雨晴ければ、本庄の方に行て、門瑟が庵をとひて、また雪中庵にとひよりけるに、雨の降でければ、あるじの老人とさしむかひて、 わか葉うつ雨やむかしの庵の音 是は、此庵は芭蕉庵の古きをうつしたるなればなり。これに句をつぎて、主筆の人と四人の一座となる。 |
安永9年(1780年)6月、佐久間柳居の三十三回忌追善集『晒布集』(門瑟編)。 天明2年(1782年)、『百花集』(柳几編)門瑟序。 寛政元年(1789年)、『柳居発句集』(門瑟編)刊。 寛政元年(1789年)、横田柳几追善集『春眠集』門瑟序。 |
麦あをつ道々むせぶ別れかな 朝露に尻つほりたる鶉かな こゝろ細き秋にも成ぬ三日の月 死ぬとてもおなし蓮や鰒の鍋 松原へ落こむ音や天の川 立琴や柱に一つはねて蝉 低ミにもよき名はあるそさくら艸 菜は畑に水のみどりや初しぐれ
『千ひろの陰』
うれしとは人にいはせて女七夕 踏れても踏れてもたゝ清水かな ある僧の世を捨かねて花の陰 迷子呼ふ八幡あたりやけふの月 ほし網は中に尖て霞かな 松風の落こむをとや天の河 螢みな露となりけり今朝の秋 木がくれて蟻に帯とく桜かな はつ時雨青き松葉も散にけり 猿牽のやどに声ありけさの秋 海棠や庭籠の鳥も唐にしき 雨そゝぐ花屋の門の柳かな 戻る里持たぬ鷺あり春の水 人しらぬ雪間や庵のいけ大根 あら海の空てなくなるしくれ哉 松風の吹こむ音や天の川 桶あてゝ置て留守なり苔清水 梅か香や寝すに夜明る泊狩 居眠りハ夜も寝ぬ人か花の陰 |