貞享元子ノとし
春たつや新年ふるき米五升
鶯を魂にねふるか矯楊
唐土の俳諧とハんとふ小蝶
此句ハ荘子の繪讃と聞ゆ
藻にすだく白魚も取は消ぬへき
憂方知二酒聖一(憂ては方に酒の聖を知り)
貧覺二錢神一(貧めは錢の神を覺る)
花に浮世我酒白くめし黒し
奈良七重七堂伽藍やへざくら
世にさかる花にも念仏申けり
三聖人圖
月花の是や誠のあるしたち
郭子まねくや麦のむら尾花
清く聞む耳に香燒て時鳥
松風の落葉か水の音涼し
馬ほくほくわれを繪に見る夏野哉
田中の法藏寺にて
苅あとや早稲かたかたの鴫の声
如行亭
藥のむさらても霜の枕哉
面白し雪にやならん冬の雨
熱田にて
此海に草鞋をすてん笠時雨
筥根越人もあるらし今朝の雪
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