俳 人

並木寂阿


下総香取郡御所台村の人、俗名並木七郎右衛門。

飛鳥園一世広岡宗瑞門。初号芝蘭。別号兎什。二代飛鳥園一叟。

 明和4年(1765年)、江戸の師広岡宗瑞を訪ねる。記念の撰集『先手後手』。

 天明4年(1784年)夏頃、一叟は玉斧を訪ねている。

   玉斧翁に対(むかふ)事いく歳を経て、

先髭の霜からとはむ夏の月   飛鳥山人一叟

『松風庵客名録』

 寛政8年(1796年)10月12日、寺作の土橋山東禅寺に芭蕉の句碑を建立。



山路来て何やらゆかしすみれ草

建立を記念して『菫塚集』が上梓された。

 『諸国翁墳記』に「菫 塚 下総香取郡寺作村土橋山東禅寺境内建 飛鳥園一叟」とある。

 寛政12年(1800年)、安久山の「搖ぎ松」に芭蕉の句碑を建立。



此道に出てすゞしさよ松の月

 同年8月、『揺松集』(兎什編)刊。飛鳥園一叟序。

 寛政13年(1801年)、飛鳥園を貞翁に譲って南無坊を号している。

2月5日、享和に改元。

享和元年(1801年)5月5日、68歳で没。

門下に梅丸がいる。梅丸は俳僧日藻上人。

多古町の大師堂(芋大師)に南無坊寂阿辞世の句碑がある。


ほとゝきすいてや明るき西の空

文政6年(1823年)3月、国老黍堂は芭蕉の句碑を建立。



古池や蛙とひこむ水の音

碑の裏に寂阿の句が刻まれているらしい。

氷らぬは氷らて寒し水の音

 千葉県芝山町の芝山仁王尊にある「杉家歴代」の句碑に南無坊寂阿の句が刻まれている。



夕立や雨にあめうつ石の上

寂阿の句

里やあるさくらもしらぬ薄曇


夢の世の明る侘しき夏の月


   いざよひさらしなのたぐひにハあらねど

三日雨四日晴天ほとゝぎす


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