広瀬惟然
蕉 門
広瀬惟然
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美濃国関の人。前号素牛。別号梅花仏、鳥落人。蕉門十哲の一人に加える説もある。 |
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惟然坊は元録（禄）の一畸人にして、一茶坊は今世の一奇人也。 |
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貞享５年（１６８８年）、芭蕉が『笈の小文』の旅で美濃を訪れた時に門下となる。 |
| 茄子絵 |
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| 見せばやな茄子をちぎる軒の畑 | 惟然 |
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| その葉をかさねお（を）らむ夕顔 | 翁 |
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| 是は惟然、みのに有し時のなるべし。 |
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『笈日記』（京 都） |
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貞享５年（１６８８年）、其角は関を訪れ素牛に会っている。 |
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関の素牛にあひて さぞ砧孫六やしき志津屋敷 |
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元禄２年（１６８９年）９月、芭蕉が『奥の細道』むすびの地大垣に滞在中、維然は関から訪れている。 |
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関の住、素牛何がし、大垣の旅店を訪はれ侍りしに、かの「藤代御坂」と言ひけん花は宗祇の昔に匂ひて |
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藤の実は俳諧にせん花の跡 |
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元禄６年（１６９３年）秋、素牛は野明と共に嵯峨の落柿舎を訪れた。 元禄６年（１６９３年）８月、丈草は素牛を伴い浪花に洒堂を訪ねる。 元禄７年（１６９４年）閏５月２２日、京都嵯峨の落柿舎で句会。 |
| 閏五月二十二日 |
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| 落柿舎乳吟 |
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| 柳小折片荷は涼し初真瓜 | 芭蕉 |
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| 間引捨たる道中の稗 | 洒堂 |
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| 村雀里より岡に出ありきて | 去来 |
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| 塀かけ渡す手前石がき | 支考 |
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| 月残る河水ふくむ舩の端 | 丈艸 |
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| 小鰯かれて砂に照り付 | 素牛 |
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『市の庵』（洒堂撰） |
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元禄７年（１６９４年）７月、芭蕉が郷里伊賀に帰るにあたって別れの句を詠んでいる。 |
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別るゝや柿喰ひながら坂の上
『續猿蓑』（沾圃編） |
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９月８日、芭蕉は支考、惟然を連れて、難波へ旅立つ。 |
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九月八日、支考、惟然をめしつれて、難波の方へ旅立ち給ふ。こは奈良の舊都の九日を見むとなり。 |
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元禄７年（１６９４年）、『藤の実』（素牛編）刊。正秀序。 元禄８年（１６９５年）３月中旬、浪化は京に入り去来に会う。惟然は浪化を旅館に訪ねている。 |
| 惟然子に旅館を問はれてしはらく語ル |
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| 即席 |
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| 惟然 |
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| 冷しさを吹こめぬるゝ板疊 |
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| 百日紅に殘る日のいり | 浪化 |
| 親犬をおもたがる程取巻て | 其継 |
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元禄８年（１６９５年）、義仲寺の「無名庵」に丈草を訪ねる。 元禄８年（１６９５年）、九州行脚に出る。９月１日、長崎の卯七に逢う。 |
| 豊前の國小倉を出て黒さきちかき |
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| あたりにて |
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| 歩行よりそおもむく峯にそはの花 | 惟然 |
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元禄八年の秋、西の羈旅おもひ立、月に吟じ雲に眠りて、九月一日崎江、十里亭に落つきける。 |
| 惟然 |
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| 朝霧の海山こつむ家居かな |
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| このごろ秋の鰯うり出す | 卯七 |
| 惟然が田上の草庵に入けるに贈る |
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| 長サキ |
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| もらぬかと先おもひつく時雨哉 | 牡年 |
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元禄８年（１６９５年）１２月、日田を訪れて朱拙に会う。 元禄９年（１６９６年）、安楽寺天満宮に詣でているようである。 |
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つくし安楽寺に詣シころ 神法楽のよし これにしの梅のわらひや日の移リ |
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元禄９年（１６９６年）、小倉より帰郷。 |
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周防岩國山の麓を過るとて 半帋すく川上清しなく雲雀 周防路を過るとて 風呂敷に落よつゝまん鳴雲雀 花に入鳥や招かん須广の縁 |
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元禄９年（１６９６年）９月、『初蝉』（風国編）刊。鳥落人序。 |
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元禄９年（１６９６年）１０月１２日、芭蕉の三回忌に惟然は義仲寺を訪れている。 |
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庵に寐るなみたなそへそ浦鵆 |
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元禄９年（１６９６年）、奈良の石岡玄梅を訪ねる。 |
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伊賀より卓袋子と共に御祭に歩をすゝめて玄梅子 の宅に満三夜を明す つげはなをくたけなからや熾し炭 |
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元禄１０年（１６９７年）、都を出て北陸から東北に向かう。 |
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いろの濱近けれは水島にあかりて かまはすとあそへ鴎の子共つれ 玉江にて 貰はふ（う）よ玉江の麦の刈仕まひ
『泊船集』（巻之六） 加賀山中入湯 こゝもはや馴て幾日ぞ蚤虱 倶利伽羅峠を越けるに いとゝたよりあはぬもとひや峰の蝉 越中に入 ゆり出すみどりの波や麻の風 有礒の浦廻りも果て、しばらく氷見の湊に足 を休む。 先かぜの名をならはばや合歓の花 越中行脚の折ふし、井波の山下にしるべある まゝ、たづね入て足を休む。 さればこの山にもたれて夏の月 砺波山も程なく過て、猶山ぞひ、井波の梺に しるべ有まゝたづね入て 真綿むく匂ひや里のはいり口 七夕やまだ越後路のはい（ひ）り初 酒田夜泊 出てみれば雲まで月のけはしさよ
『泊船集』（巻之六）
湯殿山にて 日のにほひいたゞく穐の寒さかな |
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羽黒山に僧正行尊の名ありけるに、人々案内せられて |
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豆もはやこなすと見ればおどろかな 時を今渡るや鳥の羽黒山 象潟にて 名月や青み過たるうすみ色 |
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奥州のある寺に入て 薪もわらん宿かせ雪のしづかさよ
『泊船集』（巻之六） |
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奥州南部くりや川にて 厨川のぞいて雪にまぶるゝな |
| 惟然を宿して |
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| 仙台 |
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| 隅にゐよつもつた雪のぬくともり | 千調 |
| 誰々ぞ雪に只今扣（たた）きこむ | 惟然 |
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仙臺にてとしをむかへ 先米の多い所て花の春 |
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元禄１１年（１６９８年）、江戸に入り、深川の芭蕉庵を訪れる。惟然が都に帰るにあたり、野坡は送別の句を詠んでいる。 |
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深川の舊菴にて こゝらにはまたまた梅の殘とも 深川庵 思ふさま遊ぶに梅は散らば散れ |
| 送惟然子 |
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去年は都の花にかしらをならべ、よめ菜・つくづくしを摘て語り、今年東武の余寒はおなじ衾を引張、雲雀・鶯に句をひらふ。 |
| 江戸 |
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| 菜の花や浮世は去年の秬（きび）のうね | 野坡 |
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元禄１２年（１６９９年）、三河・播州・北陸に遊ぶ。 |
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越中今石動にて 嫩葉に今日のやどりを寢入鳥 |
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元禄１４年（１７０１年）２月２５日、惟然は鬼貫居に３泊している。 |
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二月廿五日惟然にとハれて廿八日京へ歸らんとい ふ時 止られぬ又きさしませ花ちらは |
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元禄１４年（１７０１年）、京都岡崎の風羅堂に住む。 |
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左京区岡崎法勝寺町の白河院庭園に「諸九尼湖白庵・幻阿蝶夢五升菴址」の碑がある。 |
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元禄１５年（１７０２年）１月、『初便』（知方編）惟然跋。 元禄１５年（１７０２年）１月２４日、浪化は義仲寺に立ち寄る。惟然は前日まで無名庵に住んでいたようだ。 |
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かしこに無名庵はなつかしき草の戸なり。今もすたれず、ゐます時の心地に侍り。きのふの暮まで、惟然坊の住て侍りしが、誰が風狂にさそはれていづこともなく行けるよし。垣ねに梅の花咲殘て、 |
| 梅が香や晝ぬす人の去（イン）だ跡 | 浪化 |
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元禄１５年（１７０２年）、播州・備州・作州・伯耆まで放浪。『二えふ集』 |
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人丸の社頭を拜すFONT size="4"> やんわりと海を眞向の櫻の芽 麥かり風もそよめきつゝ、この山 にぬかづくとはべるとしは、元禄 の午なれば也 夜にせふぞながむるならば吉備の山 |
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元禄１５年（１７０２年）、惟然と鬼貫の付合がある。 |
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惟然が伊丹の我宿に來りていふ句 秋晴たあら鬼貫の夕べやな とりあへず いぜんおじやつた時はまだ夏 |
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元禄１５年（１７０２年）、『花の雲』（千山撰）。自序。鳥落人跋。 元禄１７年（１７０４年）２月８日、惟然は千代倉家に泊まる。１２日、名古屋へ。 |
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二月八日 晴天 惟然坊来り泊ル。 梅の花それよ肴は何肴 二月九日 勘右衛門若イ衆呼はいかい歌仙有。 |
| 人心打なぐられぬ柳哉 | 蝶羽 |
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二月十一日 晴天 惟然同道ニて彦右衛門方ニてうどん振廻有。発句有。第三迄ニて帰り申候。 二月十二日 晴天 惟然なごやへむけ被参候。発句廿書つけ遣申候。 |
| 餞別 |
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| 風（ママ）巾錘苧がきれて帰るわの | 知足 |
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| 両吟 |
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| 唐鳥の囀る声やちんぷんかん | 仝 |
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『千代倉家日記抄』（知足日記） |
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元禄１７年（１７０４年）２月２４日、丈草没。 |
| 初月忌 |
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| 泪猶其まゝそこな躑躅花 | 惟然 |
| 雲雀日和も人の閑さ | 魯九 |
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宝永元年（１７０４年）５月、丈草追善集『幻の庵』（魯九編）刊。鳥落人序。 |
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宝永元年（１７０４年）、讃岐に遊ぶ。 |
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松風の松しぐるゝや象頭山 |
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宝永２年（１７０５年）、惟然は関に帰り弁慶庵に隠棲した。 |
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文化９年（１８１２年）、惟然百回忌記念追善集『惟然坊句文集』（中島秋擧編）。 |
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埼玉県鴻巣市吹上の「ふるさとの散歩道」の水鳥橋に惟然の句が書いてある。 |
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昭和５年（１９３０年）、野口雨情は関音頭を作詩。「関の惟然坊は世捨て人」と唄っている。 |
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明月や青み過たるうづみ色
『旅客集』（第２冊）
清流子をたつねまかりけるに 途 中 吟 家々や干瓢むいて浦の風 晩方の声や砕るみそさゞい 寢られぬそいまた寒サのむめの花 朧ても月に何にもあらはこそ ねころひてまたるゝものよ小夜千鳥 ひハたふく日のめのふたや松の苔 かうをるも大せつな日ぞ花の陰 こがらしや片田の畦の鉄気水 ふけゆくや水田のうへの天の川 ふけゆくや水田のうへの銀河 梅の花赤いは赤いはあかひ（い）はさ 踏分る雪か動けははや若葉 銭百のちかひか出来た奈良の菊 |
