俳 人
二日坊宗雨
文塚の手向や霜に鳥の跡 | 二日坊 | 里同 |
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かけめぐる林下尊き枯野哉 | 四日市 | 玉之 |
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幾回り硯に匂ふしぐれかな | 山田 | 杜菱 |
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文塚の名に通ひてや浦千鳥 | 美濃 | 廬元坊 |
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真直な道あらはれて枯野哉 | 加賀 | 希因 |
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『文塚』 |
宝暦13年(1763年)2月23日、二日坊は巴凌を伴なって陸奥の旅に出る。『みち奥日記』 明和元年(1764年)、既白は伊勢に遊ぶ。 |
既白法師の(ママ)再会をよろこびて |
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イセ津 |
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一年に二度見る顔や冬至梅 | 二日坊 |
ふたゝび文塚の小冊を作るや、芭蕉翁のあとはるかなる五十回と、さきの遠き百回忌の中を取て、老の寸志を述るなりけり。これしかしながら、其徳の比良の高根よりも高く、琵琶湖の浅からぬ風雅のいたす所なれば、唐崎の朧はいざしらず、安濃の松原の色かえず、若木の花の末たのみある連中に、四時の月の光をかゝやかせなど思ふ後の事を。 |
芭蕉忌や麻袴にも風の音 | 二日坊 |
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魂やどれ其文月の塚ならば | 江戸 | 蓼太 |
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ふみ塚や文うかゞふて女郎花 | 加賀千代尼 | 素園 |
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門へ出て我家詠る蚊遣哉 | 京 | 蝶夢 |
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耳に置く霜や夜明の鐘の声 | 尾州名古屋 | 也有 |
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『後文塚』 |
四月のはしめ山田原に入楚没し、五月のこの比は 洞津の二日坊みまかりけると聞て 松竹もみな散うせて果は誰 いせの二日坊か十三回忌に みしか夜の夢かやきのふ二日坊 |
病中吟 |
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聞たいも病むひとつなり時鳥 |
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初雪や頂いて行踏て行 |
稲妻や摺違ふたる鐘の声 うはつゐた雲も落つく若葉かな 白魚や青菜に生きる椀の中
『千ひろの陰』
出し入も錦の中や後の月 行秋や松をはなれて風の音 夕立やかたむく草の戸は起ず 昼見えぬさとを夜聞きぬたかな 麦蒔や飯呼ふ聲を吹ちきり 長ふない日影ちゝめてしくれかな 主従が見事にこける雪見哉 けさ落た所うこかぬ一葉かな
『落葉川』
はせを忌や袂は染ぬ硯箱 ほし合や二夜とあらばわらひもの 鴬や棹を寐させるわたし守 雨の後売らぬ心ぞ庵の月 京からの雲を此日の時雨哉 本尊の背中見る日や煤払 暖ふなるにも白し山さくら |