当寺の住職は当山十九世弘圓和尚で、雅号を独楽坊知洞といい、詩歌をたしなみ、一茶の門人で、俳諧にすぐれていた。
文化１０年（１８１３年）以降、晩年に至るまで頻繁に小布施を訪れた一茶は、梅松寺住職の知洞や椎谷藩六川大庄屋寺島夏焦等多数との句会を行い、小布施文化の興隆に寄与した。
小布施町教育委員会 |
文化４年（１８０７年）８月１０日、一茶は六川村を訪れているようだ。
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十日 晴
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六川 大庄屋 寺島善蔵 刀（夏）焦
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同 御陣屋 玉木恒右衛門 其璧
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同所 梅松寺 法印
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『連句稿裏書』（文化４年８月） |
文化６年（１８０９年）４月２５日、椎谷藩六川陣屋玉木恒右衛門の事を書いている。
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廿五［日］ 晴 申刻夕立 六川玉木普請 紫ニ入
『文化六年句日記』 |
「玉木」は椎谷藩六川陣屋玉木恒右衛門。俳号は其璧。
同年７月１０日、小林一茶は六川に入る。
十日 晴 六川ニ入
『文化五・六年句日記』 |
同年７月３０日、一茶は梅松寺の住職知洞上人の事を書いている。
卅日 晴 六川知洞上人中食 長沼ニ入
『文化五・六年句日記』 |
文化１０年（１８１３年）２月２２日、一茶は六川村を訪れた。
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廿二 晴 六川ニ入
『七番日記』（文化１０年２月） |
六川大庄屋寺島夏焦（８代善兵衛）を訪れたのである。
初めて六川村を訪れたというわけではないであろう。
同年４月１８日、一茶は渋温泉から六川村を訪れる。
十八 晴 六川ニ入
『七番日記』（文化１０年４月） |
同年６月４日、一茶は六川村を訪れている。
四 晴 六川ニ入 夜大雨
『七番日記』（文化１０年６月） |
同年閏１１月２３日、一茶は六川に入る。
廿三 晴 六川ニ入 大綾在所越後国母去十七日ニ没
『七番日記』（文化１０年閏１１月） |
文化１１年（１８１４年）２月１１日、湯田中から六川の梅松寺へ。
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十一 晴 六川梅松寺
『七番日記』（文化１１年２月） |
同年６月２日、一茶は梅松寺の住職知洞と湯田中に入り、９日門人久保田春耕がいる高山村の紫へ、１１日には知洞のいる六川村に入る。
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二 晴 知洞ト田中ニ入
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九 晴 紫ニ入
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十一 晴 六川ニ入
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『七番日記』（文化１１年６月） |
文化１２年（１８１５年）５月１０日、湯田中から六川村を訪れる。
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十 晴 六川ニ入
『七番日記』（文化１２年５月） |
文化１２年（１８１５年）６月３日、一茶は梅松寺に入る。
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三 晴 申刻小雨 梅松寺ニ入 如大寒服冬衣
独楽庵を訪ふに不逢
蠅除の草を釣して又どこへ
『七番日記』（文化１２年６月） |
文化１３年（１８１６年）６月１３日、一茶は菅相山梅松寺に入る。
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［十］三 雨 六川入菅相山
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梅松寺納涼
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真丸に芝青ませて夕涼
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武士に蝿を追する御馬哉
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『七番日記』（文化１３年６月） |
梅松寺の前に一茶の句碑がある。
真丸に芝青ませて夕涼
本堂の前に一茶の句碑がある。
侍に蝿を追する御馬哉
同年９月１６日、一茶は六川村に入る。
［十］六 晴 六川ニ入
『七番日記』（文化１３年９月） |
知洞の句碑もある。
淡雪や片仮名形りの小菜畑
文政５年（１８２２年）２月８日、六川梅松寺に入る。
八 晴 六川梅松寺ニ入 昼ヨリ陰 寒
『文政句帖』（文政５年２月） |
文政６年（１８２３年）６月１３日、一茶は梅松寺の住職知洞と湯田中に入る。１７日、文虎がやってきた。
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［十］三 晴 知洞ト田中ニ入 巳五刻土用ニ入
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［十］七 晴 文虎来
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湖水から出現したり雲の峯
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『文政句帖』（文政６年６月） |
知洞は梅松寺十九世住職で、独楽坊ともいい、一茶と交遊深く、一茶はこの梅松寺に度々泊って句作ににふけった。天保５年甲午１０月２２日、此処に卒す。
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天保５年（１８３４年）１０月２２日、知洞寂。
独楽坊の句
水音のかぶさる月の薄かな
磯近き村や明行桐の花
夕顔も人の咲せる借家かな
水仙にうしろを見する住居かな
女の名書て盞流しけり
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