文化６年（１８０９年）４月９日、坂木宿から善光寺へ。
同年４月１６日、一茶は長沼に入る。経善寺の住職呂芳は湯治に出掛けて留守だったようで、春甫と善光寺の上原文路宅に入る。
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九日 晴 善光寺松屋泊
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十六［日］ 晴 長沼ニ入 呂芳湯治 春甫として善光寺圭好ニ入
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『文化六年句日記』（４月） |
文化１０年（１８１３年）６月１８日、一茶は善光寺桂好亭で癰（よう）を病む。
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十八 桂好亭ニ入 仝礼踊 去十五日癰兆シ今日甚
『七番日記』（文化１０年６月） |
桂好亭は上原文路宅。癰（よう）は悪性の腫物。
６月２８日、文路宅に病臥中巻いた歌仙がある。
蚤蝿にあなどられつゝけふも暮ぬ
| 一茶
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涼しく見ゆる庭の草花
| 文路
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六月廿八日、おのおの夜伽ともなく枕元により添へ、ひとつ二ツいひ出るより、つひにくだらぬ一巻とはなりぬ。
『志多良』 |
一茶は７５日間療養のために桂好亭に滞在。
７月２日、仙六がやって来た。
７月８日、柏原本陣の桂国から金二両が届く。
二 晴 仙六来 ソバ一袋
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七 晴 癰大膿出
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八 晴 夜桂国ヨリ金二両宏海持参
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うつくしやせう（しや）じの穴の天［の］川
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長野市「ちょっ蔵おいらい館」の前に小林一茶の句碑がある。
一茶の句
うつくしや障子の穴の天の川
文化１１年（１８１４年）６月２６日、善光寺の文路宅を訪ねるが留守。反古宅に泊まる。２８日に文路が帰ると、文路宅に泊まる。
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廿六 晴 善光寺ニ入所文路川中嶋ニ入 呂調会 反故（古）泊
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廿七 晴 一考会 反故（古）ニ泊
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廿八 晴 文路皈 三好泊
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『七番日記』（文化１１年６月） |
文路の屋号は三好屋。
同年８月２日、一茶は六川から文路宅に入る。
二 晴 善光寺三好ニ入
『七番日記』（文化１１年８月） |
文化１２年（１８１５年）９月１日、一茶は文路宅に入り、２泊して江戸に向かう。
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一 晴 善光寺三好ニ入
『七番日記』（文化１２年９月） |
一茶は善光寺から坂木宿へ。
同年１２月２６日、一茶は上田から上原文路宅へ。
［廿］六 晴 仏都 三好や
『七番日記』（文化１２年１２月） |
伊勢の神都に対し、善光寺町は「仏都」。
文化１４年（１８１７年）７月２日、一茶は江戸からの帰りに善光寺の上原文路宅に入り、２泊して郷里の柏原へ。
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二 晴 善光寺三好ニ入
『七番日記』（文化１４年７月） |
以後一茶が江戸に出ることはなかった。
文政５年（１８２２年）閏正月１１日、一茶は柏原を立って、牟礼、豊野、長沼まで駕籠にて門人宅を転々、１７日には善光寺の門人上原文路宅に入り滞在。
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［十］七 三好ニ入 四百穴納
『文政句帖』（文政５年閏正月） |
文政７年（１８２４年）８月３０日、一茶は駕籠で善光寺新町の上原文路宅に入る。
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卅日 晴 駕六百文 三好ニ入
『文政句帖』（文政７年８月） |
翌閏８月１日、文路宅で中風再発、言語障害に陥る。
一 晴 不言病起
もどかしや雁自由に友よばる
『文政句帖』（文政７年閏８月） |
天保８年（１８３７年）７月８日、文路没。享年６５歳。
文路の句
三尺の山も霞の夕かな
落ち葉して雀の木とは成にけり
黄鳥（うぐひす）やどこの初音の足ついで
陽炎に背中まかせて草まくら
じつとして袖に這する螢かな
我庵は人のかはりにかんこどり
我ものとなしに朝皃咲に鳬
木がらしや馬に付たる石ぼとけ
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