俳 人
中村馬門
ほとゝきすなきなき飛ぶそいそかはし | 芭蕉 |
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人の知る曾我中村やあを嵐 | 白雄 |
天明3年(1783年)、寛眠は判者の許しを得て春暁庵柴居と改号。 |
道のすたれたるにはあらねど中ごろ一変してやちまたの道さまざまに古道やがて艸生かくれんとせしを世にみたりよたりの先達ありて俳諧むかしに帰すのいまや、ともに見つべき元禄の月ともに見つべき元禄の花 |
柴居 |
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かげは影こゝろもうつれ秋の水 |
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輩はこぶ峰の椎柴 | 蛙声 |
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たぐふ夜のさゝらへおとここたへして | 知来 |
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きたも南も雲なかりけり | 柴舎 |
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啼過る鴾(とき)のてり羽の冬寒く | 酉居 |
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貫木をろす門のゆふ霜 | 馬門 |
寛政7年(1795年)2月15日、西上人六百遠忌正当法要。秋暮亭興行の歌仙に馬門の句「小春の椿梅もさきつゝ」がある。 |
寛政12年(1800年)7月22日、「秋暮亭再建寄附并諸入用紙」に「一金三百匹 曽我馬門中村左五兵衛」とある。 享和元年(1801年)8月、葛三の秋暮亭再建。百韻の歌仙に馬門の句「三日月に蘭の匂ひの増るとて」「ふるき名所に戻る暁」がある。 |
白ぎくの日にうつろはで咲にけり 夜葛魚にかひある月の出しほ哉 束鮒の流れおよぎに日のあつき おぼろ気や女使のかへる月 みじか夜に行ワたる苗の水かさ哉 竹の林風のいなづま過るかな 木枯の行方にけぶる真砂かな 露ふるひて稲妻を追野馬かな 名月にさくら見て泣聖かな たこ三あげたる門ののどか也
『五評句合』
風ぬるしゆふづく丘のむぎのいろ わすれ井を徒啼(き)ふるす蛙かな かへる鴈ものかりそめに聞やすし |
かせ寄そる亀啼浦の月夜哉 |
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はり裏に音さへもなき春の雨 | 蛙声 |
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見れはみらるゝわすれすの山 | 馬門 |
『俳諧冬瓜汁』
咲花に見違る客の白髪かな 稲妻に心追はるゝ野風かな ゆふ雲雀思ふ処へ落ぬなり 年よれは寝られぬものか夜の花 ゆふたちのはや月になる木草哉 盂蘭盆や露の及はぬものもなし 夜の程たんほに心つかはるゝ うめ晴て浦は網ほす日和かな 夜かつほにかひある月の出汐哉 雁啼や炭の火程のほそ心 あしろ家に人の明行しらしらし
『祭くさ』
たらちめに酒ゆるされし夕しくれ 山遠くなるのミにしてはつしぐれ 槇の戸や不断になりし草の露 月今宵おしまて過る草もかな 花持たぬ木艸名をとれ露の秋 夕ひはりおもふところへ落ぬなり
『香組艸』
鶺鴒の尾ふりに年もくれにけり
『きねえね』
年よりも交りおはす碪かな 名月に桜見て泣聖かな
『余綾集』 |