俳 人
中川麦浪
元文5年(1740年)2月、佐久間柳居は上方へ旅立つ。麦浪舎を訪ねている。 |
麦浪亭より京へ行とて 笠もけふ四ひらの花のちり別れ |
延享3年(1746年)5月、柳居は再び麦浪舎を訪ねる。 |
七とせを経て麦浪舎を尋ぬ折から端午の節供なれは |
物の名も軒は替らすあやめ哉 |
秋、佐久間柳居、中川麦浪は難波の有井浮風を訪ねている。 寛延3年(1750年)6月12日、麦浪は小松を出て松任の千代女を訪ねた。 |
水無月十二日は小松を出て松任に至る。千代女を訪ふに其日は他にあり、机上の硯をたづねて |
夕顔やもの読捨た留守の窓 | 麦浪 |
麦浪の旅館を訪ねて |
雲の峰見上げて近ふなりにけり | 千代女 |
『夏の白根』 |
延享3年(1746年)6月、門人堀麦水に迎えられて、金沢に入る。9月、滑川の知十亭へ。 延享5年(1748年)、『夏の白根』(杜菱編)序。 宝暦2年(1752年)8月、『鹿島詣』麦浪「後序」。 |
幾回り硯に匂ふしぐれかな
『文塚』
物かけと芭蕉一もとやれ残り 星合や柳も眉をとらぬ内 毛氈の八艘飛や汐干潟 名月や灯のある船は台ところ 小町より蛙野の歌や春の雨
『千ひろの陰』
凉しさや硯の中に砂の音 鴬や筆置音に飛て行 音はかり瀧をうしなふ櫻哉 涼しさや硯の中に砂の音 春雨や大工の家に槌の音 火縄には伽羅もたかれす山さくら 風はまだ見る計なりことし竹 草はまた枕に低し朧月 わか艸やまた彩色の行足らす 陰日南なしに働く柳かな 花さかり雨も大事に降りにけり うき島や空にも遊ふ凧 陰日向なしにはたらく柳かな |