かちならば杖突坂を落馬かな
朝よさを誰松島ぞ片こゝろ
貞徳、宗鑑、守武之畫像
三翁は風雅の天工をうけえて、心匠を萬歳に傳ふ。此かげに遊んもの、誰か俳意をあふがざむんや。
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考 證
はしめは夏野と云吟なれど、一直有しにや。猶畫讃とあれば、訂正の為爰に擧。
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辛崎夜雨
琵琶の湖雨よ疎顔が松の律
粟津晴嵐
さそ野分人の淡たつ市の聲
矢橋帰帆
夕かすみ赤石の浦を帆のおもて
比良暮雪
さそへ雲白衣の天狗比良の雪
石山秋月
汐やかぬ須磨よ此湖秋の月
瀬多夕照
遅き日にかわかぬ網の左り袖
堅田落鴈
鳥の文かたゞの鴈よ片便宜
三井晩鐘
盃に片はれはなし花の鐘
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九のとせの春秋、市中に住みわびて、居を深川の邊りに移す。長安は古來名利の地、空手(くうしゅ)にして金なきものは、行路かたしといひけん人のかしこく覺侍るは、此身のともしき故にや。
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