陶器製のあをい鴉、 |
|||||||||||||||
なめらかな 母韻を包んで |
|||||||||||||||
おそひくる青からす、 |
|||||||||||||||
うまれたままの暖かさで |
|||||||||||||||
お前はよろよろする。 |
|||||||||||||||
嘴の大きい、眼の大きい |
|||||||||||||||
悪巧みのありそうな青鴉。 |
|||||||||||||||
この日和のしづかさを |
|||||||||||||||
食べろ。 |
明治20年、碓氷郡磯部に生まれる。 早大英文科卒。詩誌『朱欒(ざんぼあ)』に「藍色の蟇(ひき)」、「慰安」を発表し、その後『ARS』、『近代風景』など北原白秋の詩誌を中心に作品を発表する。怪奇豊麗な幻夢と暗鬱な香気を漂わす詩風で、犀星・朔太郎とともに白秋門下の三羽ガラスと言われた。 初期筆名・吉川惣一郎 |
この日われに |
||||||||
耳なくて |
||||||||
そのかげは |
||||||||
しきりにも |
||||||||
みだれ咲き |
||||||||
けり |
ところも |
|
しらぬ |
|
さも白く咲き |
|
て |
|
ゐたる |
|
おだまきの |
|
花 |
昭和12年2月18日、萩原朔太郎が拓次の墓参をした折に書かれた色紙をそのまま刻んだものらしい。 |