2018年愛 媛

大宝寺〜乳母桜〜
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松山市南江戸に大宝寺という寺がある。

真言宗豊山派の寺である。

大宝寺参道


大宝寺

 古照山薬王院、本尊は薬師如来である。寺伝によると、大宝元年(701年)小千(越智)伊予守玉興が創建したと伝えられている。

 この寺の開創説話に、「角木長者」がある。この地の豪族角木長者は、このお寺の薬師如来に祈り、子宝を得た。その娘を露と名付け、お袖という乳母をやとって大事に育てたが、お袖の乳が出なくなり、再び願をかけ、乳が出るようになった。お礼に、長者が本堂を建立した。露が15歳のとき病に臥し、お袖が、自分の命と引き換えに姫の延命を薬師如来に祈ると、露は全快、お袖は急病で世を去った。お袖の遺言によって植えられたのが境内にある「うば(乳母・姥)桜」である。

 江戸時代には松山藩主の祈願所となり、貞享2年(1685年)には松平四代藩主松平定直の時代に本堂の修理を行っている。「大宝寺本堂」は、愛媛県内最古の建造物で、国宝である。

松山市教育委員会

夢 殿


乳母桜像


本堂は樹木に埋れていた。


石井義郷(よしさと)の歌碑があった。


花見れハ齢そ
  のふる世の人の
 老ぬ薬や桜なるらむ

石井義郷(文政9年(1812)―安政6年(1859))

 松山藩士・歌人。江戸・海野遊翁に入門、「萩の舎」と号し、和歌、とくに長歌に秀で、『石井義郷』・『芳≠フ屋』などの著作がある。

 この碑は、当寺の名桜「姥桜」(市天然記念物)に因んだもので、江戸時代の建立である。

松山市教育委員会

『俳句の里 松山』

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