牧水歌碑
小淵沢高原
念場が原 八が嶽の裾野を甲斐より信濃へ越えむとして念場が原といへるを過ぐ、方八里に及ぶ高原なり |
枯薄に落葉松の葉の散り積みて時雨にぬれし色のさやけさ 松若き枯野の芝の荒くして枯れてさやけきいろにもあるかな
『黒松』 |
明治18年8月24日宮崎県東臼杵郡東郷町坪谷に生まれ、早稲田大学を卒業する。 大学時代尾上柴舟に師事する。日本の伝統的な漂泊歌人で、歌は豊かな情感と寂寥感があり、清澄流麗である。歌集に「くろ土」「山桜の歌」等がある。 生涯旅を好み念場ケ原に来たのは「木枯紀行」の旅で、大正12年10月31日であった。 小淵沢から東井手・長沢を通り念場ヶ原で九首詠み、当地の旅籠屋に宿泊し翌日一首詠んでいる。 当時の自然の光景が叙情的に表現されている。 |
平成16年(2004年)11月1日、北巨摩郡7町村が合併、高根町は北杜市となった。 |
我等のいま歩いてゐる野原は念場が原といふのであつた。八ヶ嶽の南麓に当る広大な原である。所所に部落があり、開墾地があり雑草地があり林があつた。大小の石ころの間断なく其処らに散らばつてゐる荒々しい野原であつた。重い曇で、富士も見えず、一切の眺望が利かなかつた。
「木枯紀行」 |