芭蕉の句
行春を近江の人とおしみける
滋賀県栗東市のコミュティセンター大宝、大津市の義仲寺 広島県廿日市市の山田邸に句碑がある。 |
行春を近江の人とお(を)しみけり | ばせを |
先師曰、「尚白が難に、「「近江」は「丹波」にも、「行春」は「行歳」にもふるべし」といへり。汝いかゞ聞侍るや」。去来曰、「尚白が難あたらず。湖水朦朧として春をお(を)しむに便有べし。殊に今日の上に侍る」と申。先師曰、「しかり。古人も此国に春を愛する事、お(を)さお(を)さ都におとらざる物を」。去来曰、「此一言心に徹す。行歳近江にゐ給はゞ、いかでか此感ましまさん。行春丹波にゐ(い)まさば、本より此情うかぶまじ。風光の人を感動せしむる事、真成哉」ト申。先師曰、「汝は去来、共に風雅をかたるべきもの也」と、殊更に悦給ひけり。 |
行春を近江の人とおしみける 翁、石山寺の奥幻住庵に在せる頃、そこの門人等を春を惜しめる湖水の湖水の眺望也。此句を惜ミけりと出せる集あり。一句の惜けるといはされハ立す。けりけるけれ三ツの心得あるへし。師によりて習へし |