芭蕉の句
猶見たし花に明行神の顔
やまとの國を行脚して葛城山のふもとを過るによめの花はさかりにて峯々はかすみわたりたる明ほのゝけしきいとゝ艶なるに彼の神のみかたちあしゝと人の口さかなく世にいひつたへ侍れは |
その昔、役の行者が葛城山と芳野山に橋を渡そうとして神々を集めた時、葛城山の一言主神は自分の容貌が醜いことを恥じ、夜のみ出て働いたという。 |
葛城山の麓を過る 猶見たし華に明行神の顔 岩橋の夜の契も絶ぬへし。明るわひしき葛城の神、此詠によれる歟。葛城の神は美目あしゝと世の人の口さかなく云傳へ侍れハ、隠すものハ猶見たしといふ俳諧のおかしミならん。花ハ其山の景物にして、岩橋ハ優婆塞の故事也。 |
茨城県常総市の水海道天満宮 長野県松本市の野々宮神社 石川県七尾市の住吉神社 山口県山陽小野田市の杵築神社 高知県高知市の高知八幡宮に句碑がある。 |