芭蕉の句
此道や行人なしに秋の暮
『笈日記』に「廿六日は清水の茶店に遊吟して泥足が集の俳諧あり。連衆十二人。」と前書きがある。 |
此道や行人なしに秋の暮 | ばせを |
岨の畠の木にかゝる蔦 | 泥足 |
月しらむ蕎麦のこぼれてに鳥の寐て | 支考 |
小き家を出て水汲む | 游刀 |
天気相羽織を入て荷拵らへ | 之道 |
酒で痛のとまる腹癖 | 車庸 |
人声や此道かへる秋のくれ 此道や行人なしに秋の暮 此二句、いづれかと人にもいひ侍り、後「行人なし」といふ方に究(きはま)り、「所思」といふ題をつけて出たり。
『三冊子』(土芳著) |
春のくれ・秋の暮の弁 |
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行春を近江の人とお(を)しみける | 翁 |
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此道や行人なしに秋のくれ | 同 |
春のくれに対して、秋の暮を暮秋と心得たる作者多し。秋の暮は、古来秋の夕間暮と云事にて、中秋の部には入たり。
『篇突』 |
宮城県仙台市の新川生活センター 茨城県行方市の化蘇沼稲荷神社 埼玉県本庄市の本覚院 千葉県香取市の西雲寺 長野県阿智村の広拯院月見堂に句碑がある。 |
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爰元愚句、珍しき事も得不レ仕候。少々ある中に、 |
秋の夜を打崩したる咄かな |
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此道を行人なしに秋の暮 |
「人声や此道かへる」共、句作申候。京江戸之状したゝめ候折ふしに御座候而、早々何事をもわきまへ不レ申候。以上
ばせを
九月廿五日 曲翠様 |
九日、南都を立ちける心を 菊に出て奈良と難波は霄月夜 秋 夜 秋の夜を打崩したる咄かな 秋 暮 この道を行人なしに秋の暮 二十三日 ばせを 意専様 土芳様
『枇杷園随筆』 |