芭蕉の句
蓬莱に聞ばや伊勢の初便
愚句京板にて御覧可レ被レ成候へ共、 |
「伊勢に知人音づれてたよりうれしき」とよみ侍る慈鎮和尚の哥より、「便り」の一字うかゞひ候。其心を加へたるにては無二御座一、唯、神風やいせのあたり、清浄の心を初春に打さそひたるまでにて御座候。 |
『芭蕉翁繪詞傳』に「元禄七戌のとし、春立ちそむるより、故郷の方ゆかしとやおぼしけむ、」とある。 |
同年 | 5月11日、芭蕉は江戸を発って上方へ最後の旅する。 |
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10月12日、大坂南御堂前花屋仁右衛門宅で死去。 |
蓬莱に聞ばやいせの初だより | 芭蕉 |
深川よりの文に「此句さまざまの評有。汝いかゞ聞侍るや」と也。去来曰、「都・古郷の便ともあらず、いせと侍るは、元日の式の今様ならぬに神代をおもひ出でて、便聞ばやと、道祖神のはや胸中をさは(わ)がし奉るとこそ承り侍る」と申。先師返事に曰、「汝聞処にたがはず。今日神のかうがう敷あたりをおもひ出て、慈鎮和尚の詞にたより、「初」の一字を吟じ侍る斗なり」と也。
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蓬莱にきかはや伊勢の初たより 慈鎮和尚の奇に、此春はいせにしる人音信て便うれしき花柑子かな、此詠によれるか。此五文字尋常の人は元日と置へきを蓬莱と形容せられたるハ例の風姿にして柑子櫃かち栗のうつろひもむなしからす。此国の歳旦にいせの初便尊く誠に一字を増へからす一字を減すへからすといふへし。 |
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