芭蕉の句
ほととぎす声や横たふ水の上
元禄6年(1693年)、杉風、曽良の勧めに応じて「水辺のほととぎす」を詠んだ句。 |
福島県猪苗代町の「長浜」停留所 埼玉県美里町の摩訶池に句碑がある。 |
頃日はほととぎす盛りに鳴きわたりて人々吟詠、草扉におとづれはべりしも、蜀君の何某も旅にて無常をとげたるとこそ申し伝へたれば、なほ亡人が旅懐、草庵にしてうせたることも、ひとしほ悲しみのたよりとなれば、ほととぎすの句も考案すまじき覚悟に候ところ、愁情なぐさめばやと、杉風・曾良、「水辺のほととぎす」とて更にすすむるにまかせて、ふと存じ寄り候句、 |
と申し候に、また同じ心にて、 |
宮崎荊口宛書簡(元禄6年4月29日) |
群馬県館林市の善長寺 長野県佐久穂町の大日向郵便局の句碑に句碑がある。 |
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ほとゝぎす声横たふや水の上 此句は「させる事もなけれども、白露横(よこたふ)といふ奇文を味合たる」と也。一たびは「声や横たふ」とも、「一声の江に横たふや」とも句作有。人にも判させて後、江の字抜て、「水の上」とくつろげて、句の匂ひよろしき方に定る。「水光接天白露横江」の「横」、句眼なるべし」と也。
『三冊子』(土芳著) |
栃木県真岡市の大前神社 滋賀県近江八幡市の願成就寺 京都府宮津市の天橋立 福岡県北九州市の日吉神社 佐賀県唐津市の無量軒跡、佐賀市の蓮池公園 熊本県玉名市の天満宮に「一声の江に横たふやほととぎす」の句碑がある。 |
問曰、先師の句に曰、 一声の江に横ふやほとゝぎす 又 ほとゝぎす声よこたふや水の上 此二句、沾徳が判にて「声横ふや」の方に極るよし、許六かゝれたり。先師も人の評によりと句を定給ふ事侍るや。 去来答曰、此事有べし。沾徳のみに限らず、門人の評を聞て句を定給ふ事多し。
『旅寝論』(去来著) |