十二湖は、約300年前の地震による山崩れによってできた山中湖沼群です。大小33の湖沼群が連珠のように分布しています。大崩から展望すると、12の湖沼が見えることから「十二湖」と言われています。 十二湖の周辺一帯は、ブナ、ナラ、カツラ等の広葉樹を主体とした天然林で、学術的にも景観的にも貴重な価値を有する地域として、自然休養林、国定公園、および保健保安林に指定されています。
津軽森林管理署
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路を左に取りて、山坂を少し登れば、一沼露はる。少し行けば又一沼、又少し行けば又々一沼、いづれも樹木に圍まれて、背景なかりしが、第五沼に至れば、黒森山近く屹立して、背景こゝに始めて壯觀を呈す。沼の大さはいづれも周回五六町、若しくは十町、小なれども念珠繋ぎに連續せるは、天下の一奇觀たらずんばあらず。
「陸奥の海岸線」(松神の百沼) |
大町桂月先生は明治2年1月高知市に生まれ、大正14年6月十和田湖の奥蔦温泉で没。享年57。若きより能文を以て知られ、明治・大正にわたって美文・詩歌・文芸評論等に才筆を揮い文名高かった。晩年は酒と山水を友として悠々自適の生活を送っていたが、没する2年前の大正11年11月7日・8日の両日、西海岸の景勝をたずねて当地に来遊し「日暮し山の眺望。湖沼群の幽邃、紅葉の残粧など、十二湖は天下の一である」と激賞し「他日必ず天下にその名を知られるであろう」と表記の一句を残して去った。その讃の如く、十二湖の景観が永く世人に愛好されることを願って、この句碑を建立した。 |