2021年秋 田

峨瓏の滝〜菅江真澄〜
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 白神山地世界遺産センター(藤里館)から県道317号西目屋二ツ井線を行くと、峨瓏(がろう)の滝がある。

享和2年(1802年)3月12日、菅江真澄は峨瓏(がろう)の滝を訪れている。

こゝを出て、弓手のかたに川をへたてて村あり。比内といへるところのあれは、それにたくへて、名を小比内といふ。此澤のおくひろう、やかたのいと多かりけるとなん。瀧の澤といふ村に來る。こゝの不動尊の堂のほとりにも、いとよき瀧のありて、鳥居のあまた立るより橋わたり、堂に入りふりあふき見れは、岩ことに高うして、水けむりの霧とたちこめ、霞となひきわたりて、けしきたくひなう見へたり。

   零る雪か花かあらぬかやま風にさそはれてちる滝のしら泡。

『辭夏岐野莽望圖(しげきやまもと)

菅江真澄の歌碑があった。


零る雪か
花かあらぬか
やま風に
さそわれて
ちる滝のしら泡



峨瓏の滝(高さ12m)

 この滝の名前は滝の見える範囲からつけられたものではなく、滝の上流にある峨瓏峡からの流れ落ちることからきているらしい。

 峨瓏とは、山が険しくそびえ立っていて、その流れは急流などを意味することから、今は亡き先人たちは奥山に入り絶壁の景観のすばらしいところを「○○峨瓏」と呼んでいたという。(青森県境の釣瓶落峠を釣瓶落峨瓏)

 滝のすぐ上流にある峨瓏峡は、清流を中心に両壁は絶壁が続きまさに峨瓏の意味に相応しい絶景が続き、ぜひ散策して欲しいルートでもある。

 また、滝と深く関わりのある滝の沢神社は、安永10年(1780年)に建立され、祭神は不動明王、火産霊神である。紀行家菅江真澄もこの地を訪れ和歌を呼んでいる。

藤が咲いていた。


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