種田山頭火の句

空へ若竹のなやみなし

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昭和10年(1935年)5月1日の句。

あゝ五月と微笑したい。

朝、九州の旅先の澄太君から来電、一時の汽車に迎へて共に帰庵、半日愉快に飲んだり話したりした、ほんたうに久しぶりだつた。

折から大村さんがお祭の御馳走を持つてきて下さつた、うれしかつた。

そして六時の汽車に送つて、理髪して入浴して散歩して、そしてさみしく戻つて寝た。

やつぱりひとりはさみしい。

  ・こゝろ澄めば月草のほのかにひらく
  ・てふてふとまる花がある
  ・空へ若竹のなやみなし
  ・酔ひざめの水のうまさがあふれる青葉
  ・うしろすがたにネオンサインの更けてあかるく

『其中日記(八)』

『草木塔』(雑草風景)に収録。

拓本の里の句碑


播州山頭火句碑の園の句碑


小郡文化資料館の句碑


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