種田山頭火の旅
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万座温泉「日進館」

 昭和11年(1936年)5月25日、種田山頭火は草津温泉から白根山を越え万座温泉に着いた。7時半から午後3時までかかったそうだ。

5月25日 行程4里(上り3里、下り1里)

 からりと晴れてまさに日本晴れ、身心あらたに出立する、万座温泉までは4里に近いのだが、7時半から3時までかかった、ずいぶん難かしい山道だった。

 草津の街を出はずれると落葉松林、それから落葉松山、そして灌木と熊笹、頂上近くなれば硫黄粘土と岩石ばかり。

 白根山は噴煙をふきあげている、荒涼として人生の寂寥を感じた。

 涙のない人生、茫漠たる自然。

(中略)

 草津から2里あまり登って芳ヶ平、ヒュッテーがある、スキーが盛んなことだろうなどと思いつつ歩いた。

芳ヶ平


 ○白根山の山頂は何ともいえないさびしさだった、噴烟、岩石(枯木、熊笹は頂上近くまであったが)、残雪、太陽!

 落葉松の老木は尊いすがたである。

 ようやく1里あまり下ると、ぷんと谷底から湯の匂い、温泉宿らしい屋根が見える、着いたのは3時だった、何と手間取ったことだろう、それだけ愉快だった。

 とりつきの宿──日進館という、私にはよすぎる宿に泊る、1泊2食で1円。

『旅日記』

万座温泉「日進館」


「日進館」のお風呂


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